取引前の企業確認
スリランカ企業が実在するか確認する方法|登記・住所・事業所の確認手順
取引相手のスリランカ企業が実在するかを確認する手順を、日本から無料でできることから順に説明します。地図で分かることと、地図では判別できないことの境界も示します。
公開日 2026-08-27
結論:「実在する」には3つの層があります
「この会社は実在しますか」という質問は、実務では3つに分けて考えると整理できます。
| 層 | 確認する内容 | 日本から無料でできるか |
|---|---|---|
| 書類上の実在 | その社名の登記が存在するか | できます |
| 場所の実在 | 登記住所に建物が存在するか | おおむねできます |
| 事業の実在 | その建物にその会社が入り、人が働いているか | できません |
多くのトラブルは、1層目と2層目だけを確認して「実在を確認した」と判断してしまうことで起きます。登記があり、住所に建物が写っていても、 その会社がそこで営業しているとは限りません。
この記事では、1層目と2層目を無料で確認する手順を具体的に説明したうえで、 3層目との境界がどこにあるかを示します。
日本から無料でできる確認手順
手順 1
正式な法人名と会社番号を特定する
まず登記を確認します。スリランカの会社登記はeROCで無料検索できます。 ここで押さえるのは正式な法人名と会社番号です。
よくあるのは、相手が名乗っているブランド名では登記が見つからず、 正式名称に Lanka、Holdings、(Pvt) Ltd などが付いているケースです。「Contains」検索を使うと見つけやすくなります。
詳しい操作はeROCの使い方で説明しています。
手順 2
相手が使っている社名の表記を集めて突き合わせる
次の4か所に書かれた社名を並べて比べます。
- ウェブサイトのフッターや会社概要ページ
- メールの署名
- 見積書・請求書・契約書のドラフト
- 登記で確認した正式名称
ここが揃わない場合、必ずしも問題があるわけではありません。 グループ会社が複数あり、部門ごとに別法人が対応しているだけのこともあります。 ただし契約と支払いの相手がどの法人になるのかは、必ず確定させてください。
手順 3
住所を地図と航空写真で確認する
相手から提示された所在地を地図サービスで検索し、航空写真に切り替えて建物を見ます。 確認したいのは次の点です。
- その住所に建物が存在するか
- 建物の規模が、相手の説明と大きく矛盾していないか (たとえば「自社工場を保有」と説明されているのに、写っているのが小規模な事務所ビルだけ、など)
- 工場と説明されている場所が、住宅地の中の一区画になっていないか
スリランカの住所は、通り名と番地に加えて地区名が付く形式が一般的です。 検索でヒットしない場合は、地区名だけで検索して周辺を目視で追うと見つかることがあります。
手順 4
ウェブサイトとドメインを確認する
見るべきは見た目のきれいさではなく、次の点です。
- 独自ドメインを使っているか、フリーメールのみか
- サイトに記載された電話番号・住所が、他の書類と一致しているか
- 製品ページの内容が、実際に取引しようとしている品目と合っているか
- 更新が止まっていないか(お知らせや実績の最終更新日)
ドメインの登録日はWHOIS等で確認できます。 ただし、ドメインが新しいことや、サイトが簡素であることは、それ自体では何も意味しません。中小規模の製造業では、サイトをほとんど更新していない会社は珍しくありません。 これらは「気になる点」として拾い、確認項目に加えるための材料です。
手順 5
公的なディレクトリへの掲載を確認する
輸出を行っている企業であれば、スリランカ輸出開発庁(EDB)の 輸出企業ディレクトリに掲載されている場合があります。 掲載があれば、社名・取扱品目・企業規模の区分などを確認できます。
紅茶の場合は、スリランカ紅茶局のTea Directoryという別の一覧もあります。
使い方はEDB輸出企業ディレクトリの使い方で説明しています。
なお、掲載がないことは、その会社に問題があることを意味しません。国内向けの事業が中心の会社は、そもそも輸出企業のディレクトリに載りません。
手順 6
取引の痕跡を探す
社名や会社番号で検索し、次のようなものが出てくるかを見ます。
- 展示会の出展者リスト
- 業界団体の会員一覧
- 求人情報(更新されていれば、人を採用している状態を示します)
- 取引先企業側のプレスリリース
求人情報は見落とされがちですが、直近で求人を出している会社は、少なくとも組織として動いています。逆に、何年も痕跡が出てこない場合は、確認項目を増やす判断材料になります。
地図で分かること、分からないこと
住所の確認は無料でできる範囲としては非常に有効ですが、 判別できないことがはっきりしています。
| 確認したいこと | 地図・航空写真で分かるか |
|---|---|
| その住所に建物があるか | 分かります |
| 建物のおおよその規模 | 分かります |
| 周辺が工業地区か住宅地か | 分かります |
| その建物にその会社が入居しているか | 分かりません |
| 看板が出ているか | 撮影時期によります |
| 現在も使われている建物か | 分かりません |
| 複数社が同居していないか | 分かりません |
| 登記住所が住所貸しサービスでないか | 分かりません |
よくある見落とし
- 住所貸し・サービスオフィス。登記住所としてサービスオフィスを使っている会社は世界中にあります。 それ自体は違法でも異常でもありませんが、その住所を見ても事業の実態は何も分かりません。同じ住所で複数の会社名が検索に出てくる場合は、この可能性があります。
- 移転後の旧住所。登記の住所変更が反映されていないことがあります。 相手が案内する所在地と登記住所が違う場合、 その理由を聞いておくと後の齟齬を防げます。
- 事務所と工場が別の場所にある。登記住所はコロンボの事務所で、製造は地方の工場、という構成はよくあります。確認したいのがどちらなのかを先に決めてください。事務所の実在を確認しても、工場については何も確認したことになりません。
- 相手から送られた写真だけで判断する。写真はどこで撮ったものかを写真自体からは特定できません。
- 電話がつながったことを実在の証拠と考える。通話ができることと、その住所で事業が行われていることは別です。
どこまで確認すべきかの目安
すべての取引で現地確認が必要なわけではありません。 判断の目安は、「その確認をしなかった場合に失う可能性のある金額と時間」です。
| 状況 | 確認の目安 |
|---|---|
| 少額のサンプル取引から始める | 無料の確認で足りることが多い |
| 支払いが着荷後、または分割 | 無料の確認+商談での確認で進められる |
| 相応の金額を前払いする | 実態の確認を推奨 |
| 製造を委託し、納期が事業計画に直結する | 工場の実態確認を推奨 |
| 登記住所と案内された所在地が食い違う | 理由の確認、必要なら実態の確認 |
| 同じ住所に複数の会社名が出てくる | 実態の確認を推奨 |
次の行動
工場について確認したい場合はスリランカの工場を日本から確認する方法へ。発注や前払いが近い場合は発注・前払いする前に確認したいポイントをご覧ください。
調査手段全体の整理はスリランカ企業の信用調査はどうする?にまとめています。
本記事の公的情報の最終確認日:2026-08-27
制度・手数料・画面構成は変更される場合があります。実際にお使いになる際は、各機関の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
住所に建物はあるが、その先が確認できない場合
その建物にその会社が入っているか、人が働いているかは、現地でしか確認できません。
確認したい企業がすでに決まっている方
現在は調査設計のご相談のみ受付中です。
現地調査の受付準備を進めている段階のため、現在お受けしているのは「何を確認すべきか」「現地で確認できるか」といった調査設計のご相談までです。現地調査そのものの受付開始が決まりましたら、ご希望の方にご案内します。
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